VietnamBusinessHandBook

ベトナムは、急速な経済成長や人口の増加などによって、深刻な環境汚染にさらされています。 生活排水や産業排水による水質の汚濁や、産業施設、車両、バイクの増加に伴う深刻な大気汚染などには、ベトナム政府も危機感を募らせています。

2006年7月から施行されている改正環境保護法では、環境保護法に違反した企業に対する厳しい罰則や環境保護のための具体的な対策についても言及されています。 1994年に施行された旧環境保護法では、廃棄物に関しては特に章が設けられておらず、いくつかの条項で触れられている程度でしたが、改正環境保護法では、廃棄物に関してまとめて扱う章も設けられています。

改正された環境保護法では、リデュースやリユース、リサイクルを通じて排出者が廃棄を最小限にする責任についても明記され、使用済みの乾電池やタイヤ、自然分解しない樹脂、梱包材などの回収、処理の責任を生産者やサービス提供者に負わせることができる条項も盛り込まれています。さらに、廃棄物に対して適切な分別を発生源で行われなければならないとも規定されています。 具体的に実施していくための「環境保護法実施のための政令」や個別の法規、細則、政令なども細かく規定されています。

廃棄物に関する個別法令としては1999 年に公布された有害廃棄物管理規則があります。 この規則は、有害廃棄物の定義、関係省庁の責務、排出者の責務、収集・運搬・処理・最終処分および緊急時の対処などに関して規定されています。 事業者の認定制度、マニフェスト制度などからなっており、有害廃棄物の詳細な分類、および各種廃棄物の処理基準、処理・処分方法も規定されています。 有害廃棄物の埋め立て処分については、技術ガイドラインが2002年に出されています。

2003年に策定された「環境保護に関する2010年までの目標と2020年に向けたビジョン」では、廃棄物関連の優先目標として以下の2点があげられています。

  1. 都市部・工業区等における廃棄物の集中処理システムの構築と環境基準の達成
  2. リサイクル産業の育成、リサイクルの促進とリサイクル率30%の達成

また、廃棄物の汚染防止の具体的対策、目標としては以下の3点があげられています。

  1. 100%新規に建設された生産ユニットについては、クリーン技術または環境基準を満たす汚染緩和装置、廃棄物処理施設を設置する
  2. 世帯の50%、企業の70%が排出元で廃棄物分別設備を設置、居住区の80%で集中廃棄物コンテナを設置、公共区域の80%でごみ箱を設置する
  3. 都市部の40%、工業団地と輸出加工区の70%で、集中廃棄物処理システムを導入し、家庭ごみ、産業廃棄物、サービス産業からの廃棄物の90%を回収し、回収された有害廃棄物の60%と医療廃棄物100%を処理する

環境保護法に関連する主な省庁

建設省

建設省には「固形廃棄物管理首相命令」において、複数の省にまたがる固形廃棄物および有害廃棄物の管理の計画を策定すること、固形廃棄物の処理に関する基準・規則を改正・補正・制定を天然資源環境省および科学技術省と協力して行うこと、廃棄物処理技術について実証試験を行うこと、廃棄物処理を行っている企業の効率を上昇させ、能力を向上させる計画を作成し首相に提出すること等の要求があります。 工業省

「固形廃棄物管理命令」において、産業廃棄物の統計をまとめること、産業固形廃棄物特に有害廃棄物の管理計画を建設省とともに実行すること、有害化学物質および残留性のある工業原料でできた包装を制限あるいは徐々に減らし、環境に配慮した素材に代替していく計画をまとめ首相に提出する事が求められています。

天然資源環境省

天然資源環境省の補助機関であるベトナム環境保護庁汚染管理課が、水質汚濁防止、大気汚染防止や廃棄物管理を含む環境政策および法規制の策定の役割を担っており、有害廃棄物も担当しています。 また、ベトナム環境保護庁汚染管理課はこれらの政策・法規制の運営、技術的支援を行っています。

「固形廃棄物管理首相命令」では、天然資源環境省は「有害廃棄物管理規則」の実施状況を評価し、その内容の見直しを行うこと、検査を充実するため環境検査官と建設検査官のコーディネーションに関する規則を作成すること、廃棄物特に産業廃棄物から生じる環境汚染の是正を図ること等が求められています。有害廃棄物の処理業に関する許可などは、各省の天然資源環境局が担当しています。

その他の中央省庁

財務省などは、廃棄物関係の投資に予算を配分すること、廃棄物の排出等にかかわるインセンティブを税制面などから検討することが定められています。

省及び県の人民委員会

「固形廃棄物管理命令」では、省および県の人民委員会の役割も規定されています。固形廃棄物のリサイクル工場があるところは、都市中心部の家庭からの固形廃棄物の分別を行わせること、工場の固形廃棄物の組成と量を定期的に報告させること、固形廃棄物を工場が適正に処理するような措置を講じること等が求められています。

工業団地の環境規制への取り組み

政府の環境規制への取り組みが以前より強化されていることを受け、ベトナムにある工業団地でも環境に関する条項が、入居の条件になるところが増加しています。 日系工業団地の中には、中央排水処理場が設置されるなど環境対策施設を整えたうえで、工業団地として環境問題を引き起こさないことが引いてはテナント企業を守ることになるという考え方にのっとって、入居企業との契約文書の中に環境違反を引き起こした場合の契約解除条項を盛り込んでいるところもあります。

入居企業に環境違反が発生した場合は、まず改善を要求し、改善がみられない場合は工業団地から退去してもらう仕組みで、入居にあたってはこの条項を守ることが前提となっています。 現在、日系の工業団地には日系企業が入居する場合が多くなっていますが、今後ベトナム系企業の入居も予測されるだけに、このような日系工業団地の環境配慮を先取りする取り組みは、ベトナムの環境対策の向上にも役立つと思われます。

〔参考〕環境保護法


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